【事実】相続人に未成年者がいる場合の遺産分割の手続き

公開日 2019年7月5日 最終更新日 2019年10月27日

最終更新日:2019/07/05

 

相続人に未成年者がいる場合

 

こんにちは、名古屋相続税無料診断センターの佐治です。

 

相続人に未成年がいるケースは、実務でもよくあります。

 

相続の際に相続人が2人以上いる場合、基本的には遺産分割協議を行う必要があるのですが、未成年者本人が遺産分割協議に参加することができません。

 

では、未成年者が遺産分割協議を行うためには何が必要になるのでしょうか?

 

 

この記事では相続税専門の税理士が、

 

 

相続人に未成年者がいる場合の遺産分割の手続きについて簡単な事例を交を詳しく説明します。

 

もくじ

 

1.相続人に未成年者がいる場合は代理人が必要

 

2.未成年の代理人に誰を選ぶべき!?

 

3. 特別代理人に誰を選任するのか

 

4. 特別代理人選任申し立ての流れ

 

4-1.特別代理人に必要な書類

 

5. 特別代理人選任の申し立てが認められないとき

 

6. まとめ

 

 

1.相続人に未成年者がいる場合は代理人が必要

 

未成年者は、遺産分割協議に参加することができません。

 

もし相続人に未成年者がいて遺産分割協議を行う場合、代理人を選任して、遺産分割協議を行うこととなります。

 

2.未成年者の代人は誰を選ぶべき!?

 

未成年者が、財産上の法律行為(遺産分割協議も含む)をする場合、親権者が法定代理人となって手続きを行うというルールがあります。

 

 

基本的な考え方は、親権者(父や母)が法定代理人となって手続きを行う

 

では、この通りに未成年者の代わりに両親のどちらかが代理人となって遺産分割協議を行うとおかしな状況になる可能性があります

 

【具体例】

 

亡くなった人:父

 

相続人:母、17歳の子の計2人

 

父が死亡し、相続人は、母と17歳の子です。

 

父が遺言を残していなければ、母と17歳の子で遺産分割協議を行うことになります。

 

17歳の子は未成年なので遺産分割協議に参加できないため、親権者の母に代理人を任せたとします。

 

その結果、母1人で遺産分割協議をして、自分の都合の良いように財産を分割できてしまいます。

 

こういう状況を利益相反(遺産を取り合う関係)といいます。

 

子が不利になる可能性があるので、未成年者と親権者(母)の間で利益相反になる場合、親権者に代わって未成年者の代理人となる『特別代理人』を選任するルールになっています。

 

この特別代理人の選任手続きは、家庭裁判所で行います。

 

上記のケースでは、母が子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に申立てしなければなりません。

 

【ポイント】

 

利益相反とならない人を特別代理人に選任して遺産分割協議を行う

 

遺産分割協議で親権者を特別代理人にしてはいけない

 

特別代理人を選任するためには、親権者が家庭裁判所へ申し立てをする必要がある

 

 

3.特別代理人には誰を選任するのか

 

特別代理人は、誰が選任されるか決まっていないので、遺産を取り合う関係の人以外なら、誰でも代理人になれます。

 

友達でも法律上は問題ありません。

 

しかし実務上は、税理士や司法書士など相続の専門家に依頼するケースが多いようです。

 

 

4.特別代理人選任申し立ての流れ

 

親権者が下記の必要書類を持参し、子の住所地の家庭裁判所へ出向きます。

 

費用は子1人につき収入印紙800円と、通信用の郵便切手が必要となります。

 

切手代は、家庭裁判所ごとに違うことがありますので、事前に確認が必要です。

 

 

4-1.特別代理人選任のために必要な書類

 

(1)特別代理人選任申立書

 

(2)基本的な申し立てに関する添付書類

 

・子の戸籍謄本(全部事項証明書)

 

・親権者又は未成年後見人の戸籍謄本(全部事項証明書)

 

・特別代理人予定者の住民票又は戸籍の附票

 

・遺産分割協議書の案など利益相反に関する資料、他に契約書案・抵当権を設定する不動産の登記事証明書など

 

・利害関係人からの申立ての場合 

戸籍謄本などの利害関係を証する資料

 

※ 同じ書類は各1通で大丈夫です。

 

※ 申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は,申立後に追加提出しても大丈夫です。

 

※ 審査のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いされることがあります。

 

 

5.特別代理人の選任申し立てが認められないとき

 

 

遺産分割協議の内容によっては特別代理人の選任申立てが認められない場合があります。

 

特別代理人の選任申立てをする際に、家庭裁判所に『遺産分割協議の』を提出するのですが、その内容によっては選任が認められないことがあります。

 

では『遺産分割協議案』にどのような内容が書いてあれば認められないのでしょうか?

 

遺産分割協議案の内容が未成年者にとって不利な場合、特別代理人の選任が認められない可能性が高くなります。

 

相続人には法定相続分があるので、法定相続分以下の相続となるような遺産分割協議案だと選任申立ては認められません。

 

相続人に未成年者がいる場合

 

 

6.まとめ

 

相続人が2人以上で、その1人が未成年者の場合、遺産分割協議が必要になります。

 

このような遺産分割協議は、特別代理人を選任した上で、遺産分割協議を行います。

 

特別代理人の選任は、相続の専門家に任せることが多いので、未成年者が相続人となった場合、相続税の専門家である名古屋相続税無料診断センターに相談しましょう。

著者情報

佐治 英樹(さじ ひでき)
佐治 英樹(さじ ひでき)税理士(名古屋税理士会), 行政書士(愛知県行政書士会), 宅地建物取引士(愛知県知事), AFP(日本FP協会)
「税理士業はサービス業」 をモットーに、日々サービスの向上に精力的に取り組む。
趣味は、筋トレとマラソン。忙しくても週5回以上走り、週4回ジムに通うのが健康の秘訣。

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