【相続税の計算】自分で簡単にできる方法を税理士が分かりやすく解説
最終更新日:2019/10/26
こんにちは、名古屋相続税無料診断センターの佐治です。
「もしうちに相続が起ったら一体どれくらいの相続税がかかるんだろう?何千万円もかかって家とか売
らないといけなくなるのかしら?」
なんてことを考えるととっても不安になってきます。
もし自分でおおよその相続税計算ができれば、前もって将来起こる相続にたいして、しっかり準備がで
きますよね。
この記事では相続税専門の税理士が、
自分でも簡単にできる相続税の計算方法をについて分かりやしく説明します。
もくじ |
1.【相続税の計算】自分で簡単にできる方法を税理士が分かりやすく解説
相続税がかからない範囲をまず知っておくとよいです。相続税には「基礎控除」というものがありま
す。基礎控除というのは、「亡くなった人が持っていた財産のうち、一定額までは相続税がかかりませ
んよ」という非課税枠のことをいいます。
相続税の基礎控除は次のように計算します。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
今回は具体的な例を挙げて説明したほうが分かりやすいので、
亡くなった人:夫
相続人:妻、長男、長女の計3人
相続財産:自宅(土地 1億円 建物 5,000万円)
預貯金 1億2千万円
生命保険 1,500万円
葬儀費用 600万円
財産は妻が50%、長男が30%、長女が20%の割合で相続
このように設定しました。
2.とってもカンタン相続税の計算
2-1.総遺産額と正味の財産額を計算
総遺産額というのは財産そのものの価値を言います。一方、正味の財産額っていうのは、プラスの財産
からマイナスの財産を引き、相続税で非課税とされる財産を除いて、相続税がかかる財産の額を言いま
す。
今回の相続で使える税制の特例は
1.小規模宅地等の特例
2.生命保険の非課税枠
1の小規模宅地等の特例は、居住用宅地(330㎡まで)など一定の要件に該当する土地の場合には特
例を使った減額後の金額が評価額になります。今回は自宅の土地なので、8割引(2割評価)になりま
す。
土地 1億円 × 20% = 2,000万円
2の生命保険の非課税枠は、一定の生命保険について相続人1人につき500万円の非課税枠が設定さ
れています。
生命保険 1,500万円 - 500万円 × 3人 = 0円
総遺産額と正味財産額 単位:万円
| 総遺産額 | 正味財産額 |
土地 | 10,000 | 2,000 |
建物 | 5,000 | 5,000 |
預貯金 | 12,000 | 12,000 |
生命保険 | 1,500 | 0 |
葬儀費用 | -600 | -600 |
合計 | 27,900 | 18,400 |
今回は2つの税制の特例を使えたので、総遺産額に比べ、正味財産額がなんと9,500万円も少なく
なりました。
2-2.課税遺産総額を計算
課税遺産総額を計算するには正味財産額から先ほどみた基礎控除を引いて計算します。
今回は相続人が3人なので基礎控除は
3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
となり、
課税遺産総額は
18,400万円 – 4,800万円 = 13,600万円
というふうに計算できます。
2-3.相続税の総額を計算
それではいよいよ相続税の計算をしてきます。相続税を計算の順序はまず、法定相続分で分割“したもの
として”相続税の総額を計算します。よく勘違いするのは、いきなり各人の相続税を計算し始めるケース
です。必ず相続税の総額を計算することからスタートします。
法定相続分で分けた課税遺産総額 単位:万円
| 土地 | 建物 | 預貯金 | 葬儀 費用 | 課税遺産総額 | 法定相続割合 | 合計 |
妻 | 10,000 | 5,000 | 4,000 | -600 |
| 1/2 | 9,200 |
長男 | 10,000 | 5,000 | 4,000 | -600 |
| 1/4 | 4,600 |
長女 | 10,000 | 5,000 | 4,000 | -600 |
| 1/4 | 4,600 |
相続税の総額 単位:万円
| 課税遺産総額 | 相続税率 | 控除額 | 相続税 |
妻 | 9,200 | 30% | 700 | 2,060 |
長男 | 4,600 | 20% | 200 | 720 |
長女 | 4,600 | 20% | 200 | 720 |
合計 | 18,400 |
|
| 3,500 |
相続税の速算表
課税価格 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ー |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
2-4.各人の納税額を計算
2-3で計算した相続税の総額をもとに、各人の納税額を計算します。
今回の相続割合は妻が50%、長男が30%、長女が20%計算します。
各人の納付税額 単位:万円
| 相続税の総額 | 取得割合 | 各人の納付税額 |
妻 | 3,500 | 50% | 1,750 |
長男 | 3,500 | 30% | 1,050 |
長女 | 3,500 | 20% | 700 |
計 |
|
| 3,500 |
相続税の総額は3,500万円で変わりませんが、各人の負担する相続税が変わります。
配偶者の税額軽減を使うと、妻が相続する分はゼロになるので、今回の納税額は長男と長女の分を合計
した1,750万円になります。
配偶者の税額軽減とは、配偶者が相続した財産の額が1億6,000万円か法定相続分の1/2以下の
いずれか高い金額までは相続しても配偶者には相続税がかからないというとってもお得な制度です。
3.まとめ
これまでむつかしいと思っていた相続税の計算ですが、基本的な計算方法を抑えておけば、簡単な相続
税の計算ができます。
将来相続が起こったときに、どれくらいの相続税がかかるのかざっくりでも分かっていれば、生前に相
続対策をする必要があるかある程度判断ができるようになります。
相続財産の種類や金額が多くてとても自分で相続税の計算ができない!と不安に思った人は、相続税専
門の税理士へ相談することをおすすめします。
コラムの最新記事
- 【相続税】専門税理士がむつかしい言葉を分かりやすく説明する件
- 【相続対策】節税だけでない、事前に必要な4つの対策
- 【最重要】相続税がゼロでも相続税申告が必要な件
- 【これで納得】相続税のお尋ねがきたときの対応方法
- 【事実】相続人に未成年者がいる場合の遺産分割の手続き
- 【最重要】相続が起こる前に抑えておきたい相続税の基礎控除
- 【名古屋市千種区:相続相談/配偶者居住権で将来の相続に備える】
- 名古屋市 相続税専門税理士 申告の現場より。タンス預金に注意!!
- 法律を知って得する「家なき子特例」その6
- 法律を知って得する「家なき子特例」その5
- 法律を知って得する「家なき子特例」その4
- 法律を知って得する「家なき子特例」その3
- 法律を知って得する「家なき子特例」その2
- 法律を知って得する「家なき子特例」その1